ストレスを感じるとお腹が痛くなるのはなぜ?
脳と腸の繋がりを知る
はじめに
私は、もともとお腹が丈夫なタイプだと思っていました。 子どもの頃から、食べたものが悪くてお腹が痛くなることはほぼなく、「自分の腸は強い」と信じていました。
ところが、ある時、下腹の痛みと、何ともいえないスッキリしない感じが続き、「いつもと違う」「何かおかしい」と思って病院へ行くと、医者が言ったのは「ストレスではないでしょうか」という診断。 思い当たるのは仕事しかありません。。。たしかに同じ時期に仕事でモヤモヤすることが多く、そのことで、毎日のように頭から離れない、という状況でした。
正直、びっくりしました。私もストレスでお腹に影響を受けることがあるのか、と。
友人たちの話を聞いてみても、同じような経験をしている人が多くいました。大きく環境がかわるとお腹を壊してしまう人(もう一つ例がほしい)
私の介護の経験の中では、気が立ってしまっている方がいらっしゃり、原因がわからず、よくよく考えると便秘が何日も続いていた、ということも少なくありません。
腸は、思っている以上に繊細で、ストレスの影響をすぐに受ける存在なのです。
自分が感じずにストレスがを受けていて、その危険信号が腸から発信されているんですね。
この記事では、ストレスと腸がどう繋がっているのか、そして、どうすればそれに気づき、自分の体を労わることができるのかを一緒に考えていきたいと思っています。無理をせず、自分を知ることから始めませんか?
脳と腸は繋がっている
緊張した時、プレゼンテーションの前、大事な面接の日、人間関係でストレスを感じた時、お腹が痛くなったことはありませんか? そういう時、腸が反応することがあります。これは、偶然ではありません。
脳と腸は、自律神経で繋がっています。

ストレスを感じる → 脳が反応する → 自律神経が乱れる → 腸の動きが悪くなる
このように、実は、腸は脳からの指令を受けて動きます。 脳が「今、危険だ」と感じると、その信号が腸に伝わり、腸の動きが止まってしまいます。昔、人間が野生動物だった時代、危険を感じると「逃げ準備」のために、腸の動きを止めていました。これは生存戦略として有効な防御機能でした。
最近では、腸脳相関、という言葉も聞かれるようになりましたね。
【ストレスから腸の不調が起こるまでの流れ】
脳からのルート(脳→腸)
ストレスを感じる
↓
脳が「危険信号」を受け取る
↓
自律神経が乱れる(交感神経が高まる)
※「逃げるモード」に入る(防御機能)
↓
腸への指令が変わる
↓
腸のぜん動運動が低下する
※食べ物を消化するより逃げることに集中させるため
↓
便秘・下痢・お腹の張りが起こる
腸からのルート(腸→脳)
腸内環境が悪化する
↓
腸内細菌のバランスが崩れる
↓
セロトニン産生が低下する
↓
気分が落ち込む・不安になる
↓
さらにストレスを感じやすくなる
↓
脳のストレスが増加→腸がさらに悪化
負のスパイラル
ストレスを感じることで腸の動きが低下し、セロトニンが減少してメンタルが落ち込み、さらなるストレスが生まれ、腸がさらに悪化するという負のスパイラルが起こっています。あなたのお腹の不調は、あなたの脳がストレスを感じている、そのサインかもしれません。
あなたの腸は疲れていませんか?
では、ストレスがあなたの腸に影響を与えているかどうか、簡単にチェックしてみましょう。
チェックリスト
以下の4つのうち、いくつ当てはまりますか?
①朝、出勤・出かける前にお腹が痛くなったり、下痢になったりする
朝のルーティンの時点で、すでに腸が反応しているサイン。ストレスを感じると交感神経が過剰に刺激され、腸が異常に収縮したり痙攣することがあります。
②便秘と下痢を繰り返している
腸の動きが安定していません。ストレスで交感神経が高まると、ぜん動運動のバランスが乱れて、腸の働きが低下します。すると、便秘になったり、反対に下痢になったりを繰り返します。
③理由がないのに、お腹が張ったり、不快感が続く
腸が「待機モード」に入っている状態。ストレスで自律神経のバランスが乱れると、腸の感覚が過敏になり、わずかな刺激でも不快感を感じやすくなります。
④漠然とした不安を感じている時に、お腹の痛みが強く感じられる
善玉菌が減ると、痛みを和らげる物質が減少し、わずかな刺激でも腹痛を感じやすくなる可能性があります。メンタルストレスと腹痛が関係しているかもしれません。
1つ以上当てはまったあなたへ
もしかすると、あなたの腸は、あなたの脳のストレスシグナルをキャッチしているかもしれません。
ストレスを受けると、腸のぜん動運動は副交感神経の低下により、腸の動きが悪くなります。すると腸内は流れがよどんでいる川のような状態になり、悪玉菌が活発になってしまいます。さらに悪いことに、腸の働きが悪いと気分も落ち込みやすくなります。これは「幸福ホルモン」と言われるセロトニンが減ってしまうためです。
ストレス → 腸の動き低下 → セロトニン減少 → さらにメンタルが落ち込む、という負のスパイラルが起こります。
大事なのは、この腸からのサインに気づくこと。 そして、「あ、私、今ストレスを感じているんだな。腸が教えてくれている」と、自分の状態を知ることです。
【便秘と気分の落ち込みの関係】
私たちも同じですが、お腹が痛かったり、もやもやしていたらなんとなくやる気も出ないし、気分よく過ごすことはできないですよね。介護の現場で働いていた時、利用者さんが元気がない、食欲が進まない、ご機嫌が悪い、これらのご様子が長く続いている方で、なぜなのか、よくわからない方はだいたい便秘が原因であることが多かったです。
実は、認知症の進行と便秘の関係についても、医学的な注目が高まっており、東北大学などの研究によって有意な相関が報告されています。便秘により腸内細菌叢の組成が変化し、炎症反応を通じて脳機能に影響を与える可能性が指摘されています。
腸の健康は、心の健康、そして脳の健康にまで繋がっているということです。腸を大事にすることは、認知症予防にもつながる、と言えますね。
参考資料:
- 東北大学加齢医学研究所「便秘で認知機能低下が速まる可能性」(2023年1月) https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/news/domestic/00200/
- 国立研究開発法人 国立がん研究センター「排便習慣と認知症との関連」 https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/9173.html
今日からできる3つのこと

では、その不快なお腹のモヤモヤ、改善していくためにどうすれば良いでしょう。
ここで大事なのは、完璧を目指さないことです。1つ選ぶだけでもいいのです。 それから、できることを増やしていく。
そのくらいの軽い気持ちで、始めてみてください。
①セロトニン活性化(朝に効果的)
- ヨーグルトを食べる → 乳酸菌が腸内環境を整え、善玉菌を増やす
- 納豆ご飯を食べる → 納豆菌が腸の働きを活発化させる
- 味噌汁を飲む → 発酵食品が腸内細菌叢のバランスを整える
- 深呼吸する → 体内時計がリセットされ、自律神経が整う
なぜ効果的?
朝に日光を浴びて、リズムよく体を動かすことでセロトニンが活性化され、ストレスに強い脳になります。
②腸の動き活発化(日中いつでも可能)
- 昼間に少しでも歩く → 腸のぜん動運動が活発化し、便通が良くなる
- デスクで1分の深呼吸をする → 副交感神経が高まり、腸の働きが回復する
- 朝日を浴びる機会を作る → 日中の日光が、夜間の睡眠ホルモン(メラトニン)分泌を促進する
- トイレ後に1分の腸マッサージをする → 腸の動きをダイレクトに刺激し、蠕動運動を促進する
なぜ効果的?
ストレスで低下した腸のぜん動運動を、運動やリラックスで高めることで、腸の働きが戻ってきます。
③副交感神経優位化(夜に効果的)
- 38~40℃のお湯に15分浸かる → 副交感神経が優位になり、腸も休まる
- スマートフォンを寝る1時間前に手放す → ブルーライトから脳を守り、睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌が促進される
- 寝る前に深呼吸をする → リラックス神経が優位になり、入眠がスムーズになる
- 寝る前に1分の腸マッサージをする → 就寝前に腸をリラックスさせ、夜間の回復を促す
なぜ効果的?
ぬるいお風呂に浸かることで、副交感神経が優位になり、腸も休まり、深い睡眠へと導かれます。
これらは、「気づいた時に」「気が向いた時に」で大丈夫です。 無理なく続けることが、まずは大切で、腸を整えていくコツです。あなたの生活に合わせて、できそうなことから選んでください。 まずは1つでいいのです。その1つが、あなたの腸を変え、メンタルを変え、人生を変えていくきっかけになるでしょう。
最後に
腸からのおしらせ、便秘になった時、下痢になった時、お腹が張った時。 そういう時こそ、「あ、私、今ストレスを感じているんだな」と気づくチャンスです。腸は、あなたの体の声です。 あなたのメンタルの声です。その声に耳を傾けることで、自分を労わることができるのです。
この記事を読んで、もし「あ、これ私だ」と思ったなら。 ぜひ、今日から1つ、試してみてください。朝日を浴びる。 散歩をする。 お風呂に浸かる。
どれでもいいのです。 1つから始める。その小さな選択が、あなたの腸を変え、あなたのメンタルを変え、あなたの毎日を変えていきます。
腸を知ることは、自分を知ること。 自分を労わることから、始まるのです。毎日、一歩ずつ。 あなたのペースで、腸と一緒に歩んでいってください。
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